スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

TIFF で観た韓国映画

今年の東京国際映画祭 (TIFF) に招待された韓国作品は、昨年同様わずか 2 本。

TIFF だけが韓国映画に冷たいわけではないけれど、昨年は招待された 2 本とも満足度の高い作品でしたが、今年は、選ばれた作品がこれか...という感じで、物足りなさが残りました。

ワールド・シネマ部門
『アトリエの春』
日本語字幕

原題: 봄
製作年: 2014 年
監督: チョ・グニョン
出演: パク・ヨンウ、キム・ソヒョン、イ・ユヨン

あらすじ: 1960年代の後半。全身の麻痺が進む難病を抱えた彫刻家ジュングは、妻ジョンスクの勧めで湖のある村で療養している。創作を断念し、生きる希望も失った夫を見かねたジョンスクは、モデルを探して夫の創作意欲を回復させようと思い、村で見かけた若いミンギョンを連れてくる。ミンギョンはふたりの子持ちで、夫から虐待されていた。湖畔のアトリエでミンギョンをモデルに創作を再開したジョンスクは徐々に快復し、ミンギョンもまた生活の辛さから解放されて明るくなり、ふたりは親密になっていく。(TIFFの解説より)

= = = = =

この作品に対して、正統派の映画だと評価する人もいれば、凡庸でつまらないと評価する人もいて、要は同じような印象を作品から受けているにもかかわらず、受け取る側の評価が二つに分かれてしまうという典型的な作品例なのでしょう。ちなみにワタシは後者です。もちろん、「正統派」 という側面に頷くこともできるのですが。

この作品で目を見張るべきところは映像美で、風が吹くさままで見えてくるような透明感があり、心洗われる気分でした。しかし、映像美の水準の高さに比べると、内容があまりにつまらなく、どこかの昼ドラで見たようなマクチャン設定が静かに進行していくところは残念でした。たとえば、余命わずかの彫刻家の夫のために、理想的な体型の若い女のモデルを妻が見つけてくるとか、モデルとなった女は幼い子供を2人抱え DV 夫に悩まされ生活に困窮しているとか、若い女を目の前にして彫刻家が最後の力を振り絞って創作に打ち込むとか、モデルの DV 夫を彫刻家が殺すとか、その彫刻家は自殺するとか... 彫刻家がひとり空回りしているようで。

彫刻家の夫とその夫を支える妻の夫婦愛は美しく描かれていましたが、そこに注力できなかったことは、おそらく映像が美しすぎて、そちらに眼が行ってしまったからかもしれません。

この作品の時代設定は1969年で、当時、韓国はベトナム戦争に参加し、その影響が人々に暗くのしかかっていたそうです。そうした社会背景は、モデルのミンギョンの個人的な経歴を通じて語られていました。しかし、肝心の彫刻家と社会背景との接点が見いだせず、どこかぼんやりした、春霞のような作品でした。

ただ、ストーリーが凡庸なわりには、主演の女優 2 人が光っていて、作品を引っ張っていたところは良かったなと思います。長編映画デビューのイ・ユヨンの脱ぎっぷりはお見事ですし、彫刻家を支えた妻を演じたキム・ソヒョンの抑制された演技は見ごたえがありました。

そうそう、カメオ出演者が豪華。ペ・スビン、ハン・ヘジン、チン・グ、イム・スロンと監督の前作 『26 年』 の主演がずらりと顔を並べていました!

My 評価: ★★☆



アジアの未来部門
『メイド・イン・チャイナ』
日本語字幕

原題: 메이드 인 차이나
製作年: 2014 年
監督: キム・ドンフ
出演: パク・ギウン、ハン・チェア、イム・ファヨン

あらすじ: 中国でウナギの養殖業を営むチェン (パク・ギウン) は、自分が輸出したウナギが安全であることを証明するため韓国に密入国するが、検査の結果、ウナギが汚染されているという致命的な結果が出てしまう。女性検査員のミ (ハン・チェア) はチェンに警備員の仕事を斡旋するが、彼が配置されたビルの中で違法なウナギ養殖が行われていた。憤ったチェンは、すべてのウナギを湖に流してしまう。(TIFF 解説より)

= = = = =

キム・ギドク脚本ということで話題だった本作。キム・ギドクのご威光なのか、上映回チケットも完売。どうしても、キム・ギドクの名前に光があたってしまうのは仕方がないでしょう。やはり、ギドクの創り出す世界は、誰にも真似ができないのですから。

さて、このウナギの話。冒頭から思いきりツッコミを入れたくなるような粗雑なところはあるのですが、枝葉にはこだわらず、そこはばっさり斬り落として、幹だけで勝負しながらぐいぐいと強引にストーリーを展開させるのは、やはりギドク脚本ならではの味わいでした。

それにしても、いくらギドク脚本だからといっても、やはりキム・ドンフ監督らしさが欲しかったのですね。カメラワークといい、どうしてもプチ・ギドク感が漂っていて、やや残念でした。やはり師匠が偉大すぎて、弟子がそれを超えるのはなかなか難しいのでしょう。

中国産の養殖ウナギから水銀が検出され、再検査を求めて、韓国へ密航してきた業者が韓国で見たものは... という展開。食の安全を問うというような社会問題を扱うエピソードもあるのですが、そこが主眼ではないことは見て明らかで、着想から自身が発信したいメッセージへのつなぎがやはり上手いなと思いました。

話は面白いけれど、見せ方が物足りなくて、もう一歩踏み込んで欲しいような気がします。どこか遠慮がちな感じがして、ある到達点まで振りきれていない歯がゆさが、満足感の減点となってしまいました。

My 評価: ★★★

tag: 韓国映画

コメント:

コメントの投稿


非公開コメント:

プロフィール

lotusruby

Author:lotusruby
当ブログ内での画像・動画は個人で楽しむ範囲で掲載しており、記事文中は敬称略とさせていただきます。

ブロガーさんとのリンクは歓迎ですが常識の範囲でお願いいたします。また、Twitter への記事リンクは事前にご照会いただけると幸いです。さりげなく拍手をくださる方、ありがとうございます。

なお、旧館からの移行記事 (2012年3月以前) はうまく反映されていないものがあります。

twitterwidget
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム
QRコード
QR
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。