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BIFF で観た韓国映画 vol.3


さて、BIFF で観た韓国作品は、あと 2 本。

Korean Cinema Today Vision 部門から 『The Liar / 거짓말』 と 『A Matter of Interpretation / 꿈보다 해몽』。
どちらも、なかなか見ごたえありました。



『The Liar』
英語字幕

原題: 거짓말
製作年: 2014 年
監督: キム・ドンミョン
出演: キム・コッピ、チョン・シナン

あらすじ: アヨンは皮膚科のアシスタントとして生計を立てているが、少ない給料で生活も苦しい。にもかかわらず、身なりもよく、高級不動産物件を探しまわり、デパートでも金持ちのようにふるまう。同僚にはまもなく結婚する金持ちのボーイフレンドがいると自慢する。もちろん現実のボーイフレンドは金持ちでもなく、カーディーラーで働く平凡な青年だ。アヨンの嘘は次第に剥がれていく。

= = = = =

この作品は、嘘に嘘を重ね、自分を見失い、虚栄心だけで生きている若い女性の物語です。主演のキム・コッピは、ヤン・イクチュンの 『息もできない』 で注目を浴び、今や、アジアのインディー界ではひっぱりだこの女優に成長。やはり、インディー界で鍛えられている役者は違いますね。観客を一瞬にしてキャラクターに引き込んでしまう力がありますね。

監督は、当初、キム・コッピをあえてキャスティングから外していたそうですが、諸事情でキム・コッピにオファーすることになり、最初の撮影で 「この嘘つき女は、キム・コッピ以外に考えられない」 と思ったそうです。劇中の彼女を見ると、監督のその言葉がよくわかると思いました。

嘘つきという病に冒され、本当の自分を見失う、自分の存在さえもがまるで虚構であるかのよう。一体、あなたは誰なのかと。所詮、嘘は剥がれるものであると分かっていても、嘘をつかないではいられない... 彼女がどのようにして、なぜここまで精神的な病に冒されていったのかは、この作品には描かれていませんが、それは容易に想像することができます。資本主義の歪なのか、見栄がすべての社会が与えるプレッシャーなのか。

共感を呼ぶテーマであることは間違いないのではないでしょうか。誰しもどこかで見栄をはったり、小さな嘘をついたりするもので、このテーマを涼しい顔をしてやり過ごそうとすることこそが見栄そのものなのでしょう。

嘘はいけません... ということを説教するための作品であることは言うまでもなく、人間って脆くて、どうしようもなく愚かで、そういうこと認めたくないこともあって、なんとややこしい動物なんだろう.... と、深く、深く思ってしまいました。

My 評価: ★★★☆



『A Matter of Interpretation』
英語字幕

原題: 꿈보다 해몽
製作年: 2014 年
監督: イ・グァングク
出演: ユ・ジュンサン、シン・ドンミ、キム・ガンヒョン

あらすじ: 演劇の公演日、観客が誰一人来ない。怒って劇場を出ていく女優。公園に行き、彼女はボーイフレンドを呼び出し、彼は女優をなだめようとするも、彼女に別れを切り出す。同じ公園で女優が、煙草を吸っていると、刑事がやってきて、禁煙区域だと彼女を非難する。そして刑事は少し前に近所で自殺した女性を見てきたと話す。刑事は自動車の中で一酸化中毒で死んだ女の話をする。そして、女優は自動車の中で自殺を企てようとするが.... 物語は、夢の中へ。それは誰の夢の中なのか。

= = = = =

今回 BIFF で観た韓国作品では、本作が最も洒落ていて、作り手の気概が感じられました。とにかく、あらすじをどう書けばいいのかわからないほど込み入った構成になっています。

現実と夢。その夢の中の夢。それも自分の夢なのか、他人の夢なのか。ストーリーが幾重にも入れ子式になっていて、ストーリーの構成力が卓越していて、映像を見ればわかるのですが、こうして文字で内容を書くのは難しいです。

映像は平面的で、ごくごく普通の日常をとらえているかのようですが、実は日常ではない夢の中であったり、シームレスな現実と夢の行き来で、観ている者を惑わすのですが、そうかといって、内容がわからないかというとそうでもなく。よくこういう脚本が書けるなと唸ってしまいました。

ちょっと観たことのない作品ですが、インディ作品なのにかなり洗練された印象を受けました。登場する人物像が、ホン・サンス作品に登場するような、ちょっと調子はずれな人たちなので、ホン・サンス作品のような香りがしないでもありません。ちなみにこの監督は、ホン・サンスの助監督だったという経歴があり、ホン・サンス調なのは仕方ないかなと思います。それでも、ホン・サンス作品の特徴にあるような即興性を重視している感じはせずと、かなり緻密に計算された感じがします。

この作品は、BIFF 開幕前の評論家たちのプレビューでかなり評判が高かったので、私は観ることにしたのですが、これは観て正解でした。シュールレアリズムを取り入れながらも、韓国映画によくありがちなエキストリームな表現がなかったことが、私にとっては好感が持てるところでした。

このシュールな世界がどのように構成されているのか、分析してみたくなるような、そんな作品です。夢はどこまでが夢で、それは誰の夢なのかと。

主演のユ・ジュンサンとシン・ドンミ。この二人が醸し出す、なんとも言えない、地に足のつかない空気感がシュールな世界にぴったり合っていて面白かったです。

My 評価: ★★★★

tag: 韓国映画

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