スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

BIFF で観た韓国映画 vol.2


BIFF が終わって 1 ヶ月経ってしまいました。
BIFF の Wide Angle 部門 では、Short Film Showcase 1 を観ました。
このShowcase 1 は、豪華な監督たちによる短編 4 作で構成されていました。

カン・ジェギュ監督 (『マイ・ウェイ』、『ブラザーフッド』)、パク・チャヌク監督 (『渇き』、『復讐者に憐れみを』、『オールドボーイ』)、ミン・ヨングン監督 (『短い記憶』)、それに初監督のムン・ソリ。それぞれのユニークさが楽しめる短編でした。


『Awaiting』
英語字幕

原題: 민우씨 오는 날
製作年: 2014 年
監督: カン・ジェギュ
出演: ムン・チェウォン、コ・ス

あらすじ: ヨニ (ムン・チェウォン) は、今日も恋人のミヌの帰宅を待っている。 ある日、どこからかやって来た人々が、ヨヌを訪ねて、明日ピョンヤンに出発するの準備しろと伝える。ミヌが生きていると。ヨヌは彼が家に戻らなかった理由もわからないまま、ピョンヤン行きのバスに乗るが。(28 分)

= = = = =

南北に引き裂かれた恋人たちが、この作品のテーマ。カン・ジェギュ監督が得意とする南北問題によって心に傷を抱えた人たちの話です。ストーリーそのものは、とても美しく、ラストのオチまできっちりと綿密に練られています。

痴呆症が進んでいる老女が長年恋人を待ち続け、ようやく南北友好ムードの高まりで再会できるかもしれないという状況で、ムン・チェウォンが演じる 20 代のヨニは、老女そのものなのです。時がどれだけ進んだかということも、なぜ恋人が戻ってこないかもわからなくなってしまっているのです。若かった頃のまま、時が止まっているかのごとく。あるいは、痴呆症が進んで、若い頃のことしか覚えていないのか。

とても切ない、情緒的な話ですが、とりわけ目新しい話でもありません。『怪しい彼女』 のシリアスバージョンという感じも拭えません。 『怪しい彼女』 では、ある日、老人が若返ってしまうというコメディで、本作とはテーマも異なるのですが、老女を若い女性の姿にすり替えるという点で、どうしても既視感があることは否定できませんでした。

My 評価: ★★★



『The Bicycle Theif』
英語字幕

原題: 자전거 도둑
製作年: 2014 年
監督: ミン・ヨングン
出演: パク・ジュヒ、ホ・イェスル

あらすじ: 学費を払うために、高級自転車のサドルを盗んで売って稼ぐ女がいる。ある日、彼女自身の自転車のサドルを誰かが盗む。 いったい誰が盗んだのか。泥棒が泥棒を追いかける。(21 分)

= = = = =

「盗み」 を日常の何気ない風景の中に取り込んだ作品で、それがとても自然であり、また人間的な側面がにじみ出てくるような感じで、この作品が 4 編の中で一番好きでした。

「盗み」 は許されないことだという倫理的観念や切り口で戒めるでもなく、盗む側の理屈や動機を肯定も否定もしない。そこに存在するのは、ただ、盗む者と盗まれる者であって、そして盗んだ物と盗まれた物であって、その関係性はこの広いようで狭い社会の中でつながっているということに、みんな気づいているのかと問いかけているようでもありました。つまり、自分のものだと思っていたものが実は誰かのものだったかもしれないという象徴として、 「サドル」 はとても意味深いものでした。

そして、取られたサドルが取り付けられていたパイプにブロッコリーが刺さっているという画がコミカルでありながら、シニカルで、とても印象的でした。QA では、「日本で実際にサドルが取られたあとにブロッコリーがささっている事件があったそうだが、それをモデルにしたのか」 という観客から質問があり、私はそうした事件のことを全く知らなかったので、驚きました。監督はその事件をご存知なかったそうですが、偶然すぎる偶然ですね。

My 評価: ★★★★



『A Rose Reborn』

製作国: イタリア
製作年: 2014 年
監督: パク・チャヌク
出演: ダニエル・ウー、ジャック・ヒューストン

あらすじ: ロンドンで成功した技術会社 CEO のスティーブンは、スティーブンの会社を買収しようとする中国企業のルーに会いにいくように投資家たちからけしかけられる。会う場所は、米国ワイオミング州の地下 200 メートル。ルーは、スティーブンに謎かけをする。そして、スティーブンは上海、そしてミラノへと旅立つ。(20 分)

= = = = = =

パク・チャヌク監督によると、この作品は、イタリアを代表するファッショングランド、エルメネジルド・ゼニア (Ermenegildo Zegna) から依頼された広告映画で、このブランドのターゲットに合わせて制作したのだそうです。

もちろん劇中出てくる男性が着用しているのは、ゼニアの素敵なスーツ。ダニエル・ウーがこんなところに出てくるとはつゆ知らず。相変わらず、パク・チャヌク監督の映像はキレがよく、色彩や光の取り方などは独特だと思いました。

ストーリーでは、主人公がロンドン、ワイオミング、上海、ミラノと世界を転々とし、地下 200m で午前 3 時にアポとか、地下と地上も行き来するという... まさしくボーダレスに動き回るのですが、近未来的な雰囲気を持たせつつ、そうでもなく。謎かけも作品のスパイスとして効果的ですが、とにかく不思議な作品なので、作品自体が謎かけのようだと思いました。上映後の QA で監督の意図を聞き、なるほど、そういうことなのかとわかった次第。

パク・チャヌク監督は、この作品を通じて、「新しい世代が、文化や地理的な境界を越えて、柔軟に革新的な考えを供給してほしい」 と語っておられました。

本作は、ゼニアのHPで公開されています。日本語字幕付きで観られるので、ぜひ観てみてください。
http://arose-reborn.zegna.com/ja/

My 評価: ★★★☆



『The Actress』
英語字幕

原題: 여배우
製作年: 2014 年
監督: ムン・ソリ
出演: ムン・ソリ、カン・スク

あらすじ: 友人たちと登山に行った女優が、男たちと山小屋で酒を呑むこととなる。酔った勢いで、人々からは、彼女に対する偏見が明らかにされる。 (18 分)

= = = = =

ムン・ソリが、女優ムン・ソリを演じ、自分自身をネタにしたような作品。もはや若さを売り物にする年齢でもなく、女優としての将来を不安に思ったり、どういう役を演じればいいのか悩んでいるという様子は、本当に自分自身の悩みじゃないかと思ってしまいました。

酒の席でグダグダする人々が描かれているのですが、まるで、ホン・サンス作品のパロディでも観ているかのようで、人々が女優に対する偏見やら本音やらが明らかにされてゆくのです。

基本的にはコメディで、クスクス笑いつつも、女優という職業もタイヘンなんだなと悲哀さえ漂ってくるのですが、リアルすぎて笑えないわけでもなく、かなり笑ってしまいました。観ている側の笑いを引き出す微妙なバランス感覚は、さすが、ホン・サンス作品常連俳優として鍛えられているなと思いました。

My 評価: ★★★


tag: 韓国映画

コメント:

コメントの投稿


非公開コメント:

プロフィール

lotusruby

Author:lotusruby
当ブログ内での画像・動画は個人で楽しむ範囲で掲載しており、記事文中は敬称略とさせていただきます。

ブロガーさんとのリンクは歓迎ですが常識の範囲でお願いいたします。また、Twitter への記事リンクは事前にご照会いただけると幸いです。さりげなく拍手をくださる方、ありがとうございます。

なお、旧館からの移行記事 (2012年3月以前) はうまく反映されていないものがあります。

twitterwidget
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム
QRコード
QR
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。