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10 月に観た韓国映画 vol.2 <BIFF>

TIFF が始まる前に BIFF のレポートを終えたいと思っていたのに... ダメなワタシ。
そうこうしているうちに、キム・ギドク監督も TIFF にやってくる!!!

『파스카 / パスカ (原題)』
女流監督アン・ソンギョンの 2 作目。

『뫼비우스 / メビウス (原題)』
韓ドラ 『私の心が聞こえる?』 でマル (ナムグン・ミン) の少年時代を演じたソ・ヨンジュ君が、こんな衝撃的な役に挑戦していたとは... もう子役じゃない... 恐るべし...



『파스카 / パスカ』
英語字幕

原題: 파스카
製作年: 2013 年
監督: アン・ソンギョン
出演: ソン・ホジュン、キム・ソヒ

あらすじ: 40 歳のカウル (キム・ソヒ) は売れないシナリオ作家で、息子と見間違えられるような年齢の 19 歳のヨセフ (ソン・ホジュン) と同居している。ヨセフは高校も中退し、アルバイトをしながら 2 人の生計を支えている。2 人はヒマンという名のネコを飼い、また近所の野良ネコたちにも愛情を注ぐ。周囲から奇異の目で見られる歳の差カップル。そんなある日、カウルに妊娠が発覚する。

=====

21 歳年下の男と付き合う 40 歳の女。まず、世間の常識からして理解されないカップルで、女が男のヒモなのか、いや男が女のヒモなのかと、下世話な勘繰りを入れたくなるのですが、これが、貧しくとも互いを支え合っている純粋なカップルなのですから、ますます理解できません。

当然彼らに対する周囲の視線は厳しいわけで、男には 「母親が恋しくて年上の女と付き合うのだろう」 とか、女には 「未成年者と付き合うとその両親から訴えられる」 とか、至極ごもっともな批判の嵐が彼らに向かうのです。それでも彼らは信じがたいほど強い絆で結ばれており、たんなる歳の差カップルの悲恋ドラマかとさえ思われるのですが...。

この作品の肝は、カウルの妊娠と堕胎なのでしょう。監督によると、堕胎シーンのせいで、この作品は投資も受けることができず、また、そのシーンをわざわざ入れる必要がないのではないかと非難されてきたそうです。堕胎シーンと言っても、言葉にするのがためらわれるようなシーンがあって、ワタシは目をつぶりましたが、確かにそのシーンを入れる必要があるのかなとワタシも思いました。

正直なところ、この作品を見終わって、何が言いたいのかなと首をかしげてしまったのですが、上映後の監督の Q&A を聞くと、情緒的ではなく理論的な構成の上にこの作品を成立させているのだなということがわかり、なるほどと思いました。

堕胎は、周囲や世間からの無言の圧力で強制されることが多いという現実を見据えるということや、堕胎するということはどういうことなのかということをリアルに語りたかったようです。

ネコに執着する 2 人についても、ネコは象徴的な存在で、動物でも人間でも同じということ。歳の差カップルについても、どんなカップルにも年齢は関係ないということ。

飼っていたネコのヒマンが死んでしまうも、2 人はまた子猫を見つけてヒマンと名づける... ヒマン=희망が韓国語で 「希望」 という意味であることがわからないと、これが再生の物語であることがわかりづらいのではないかと思います。英語字幕にも「Hope」という但し書きを入れて欲しかったですね。

英題の 「Pascha」 はギリシャ正教で 「復活、再生」 を意味します。Reborn や Rebirth となどのありきたりの言葉を使いたくなかったという監督。

監督の意図や想いを聞くことができてこそ、作品を深く知ることができましたが、Q&A がなかったらこの作品は理解できなかったような気がします。

My 評価: ★★★




『뫼비우스 / メビウス』
音声なし

原題: 뫼비우스
製作年:2013 年
監督: キム・ギドク
出演: チョ・ジェヒョン、ソ・ヨンジュ、イ・ウヌ

あらすじ: 夫 (チョ・ジェヒョン) の浮気を知った妻 (イ・ウヌ) は、夫に直接復讐する代わりに、自慰行為していた息子 (ソ・ヨンジュ) の性器を切って家を出て行く。周囲から笑いものにされた息子を見て、父親は息子に対する罪悪感から自身の性器を切断して保存する。医学技術に進歩を期待し、環境が整えば息子に移植するために。しかし、性的な欲求を押さえることができない息子は、不良たちと商店の女 (イ・ウヌ 二役) に性的な屈辱を加えて、警察行き。父親は肉体の苦痛によって性的な満足感を得る方法を息子に教える。

= = = = =

キム・ギドク監督の作品は、発表されると何かと話題になること多く、この作品もレーティングをめぐり、上映できるとかできないとか現地の映画界を騒がせた作品です。

オリジナルはヴェネチア国際映画祭での上映のみで、BIFF で上映されたバージョンは編集カット版でした。映画祭側からはオリジナル上映を要請されたそうですが、監督自身が断ったそうです。

それは 「私 (監督自身) の問題ではなく、観客の問題だ」 と Q&A で述べておられました。つまり、レーティングに対する観客の意識が変わらないとどうしようもないということのようです。

本作の内容ですが、予想どおり描写がかなり衝撃的です。ただ、キム・ギドク監督作品のメッセージというのは、シンプルでストレートなのでとてもわかりやすいと、ワタシはいつも思うのです。そのメッセージの伝え方、描写が非常に独特で、誰もが触れて欲しくない闇の部分というか、醜い部分を強烈に抉りだすものだから反発が大きいのかもしれません。

Q&A で海外の映画関係者から、「個人的にギドク監督を存じあげていて、あなたはとても優しくて良い人なのにどうしてこういう作品を作るのでしょうか」 と冗談交じりの質問がありました。

それに対して監督は、「そうなんです。私はとても正直で純粋な人間です。だからこそ嘘を描けません。家族はセックスの産物でしょう? なぜ家族の間でセックスを隠さなければならないのでしょうか」 と応えていました。確かに、言われる通りで説得力があります。

ただ今回は、性器の切除という行為、母子の近親相姦に近い設定があるため、センセーショナルという言葉がぴったりです。性器の切除そのものは、日本でも阿部定事件のようなモチーフが映画などで取り上げられているため、それ自体には驚きませんが、やはりここでは母親が息子に対して行ったことが問題なのでしょう。

タイトルにもなっている「メビウス」は、メビウスの輪(帯)のことを指しています。メビウスの輪は、表裏のなくひとつの面の立体で、平面の表側だと思ってたどるといつのまにか裏側になっていて、されらにたどるとそれがまた表側になっているループ構造になっているわけです。一度外れても元の場所に戻ってくるのですが、また外れていく... この繰り返し。

この意味深なタイトルからいろいろ解釈しようとすると、おそらく論文のひとつも書けてしまうのではないかと思われる作品です。

この作品は 『うつせみ』 のようにセリフが一切ない無声映画です。セリフがないのに、まるでセリフを聞いているかのようにセリフが頭の中をよぎるのが不思議です。性に対する飽くなき欲求、罪悪感、加虐的悦楽など人間の醜悪さが浮き彫りにされているのですが、同時にその醜さの裏側に潜む人間に対する憐みも感じられ、ただ衝撃的な描写に気を取られているばかりでは、実にもったいない作品なのではないかと思います。

キャストの演技の密度はものすごく濃くて圧倒されました。とくにソ・ヨンジュには脱帽。こんな作品によく挑戦したなとも思うし、親御さんは出演をよく許したなと (笑)。

My 評価: ★★★☆



tag: 韓国映画

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