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10 月に観た韓国映画 vol.1 <BIFF>

今年のプサン国際映画祭 (BIFF) で観た韓国映画は 6 本。最近、韓国映画には期待していませんが、残念ながら今回も心を揺さぶられるような作品にはお目にかかれませんでしした。

ホン・サンス監督、ポン・ジュノ監督、キム・ギドク監督と、国際的に評価の高い監督の話題作を観られたのは良かったなと思いますが...

まずこの 2 本。

『우리 선희 / わたしたちのソニ (原題)』
ホン・サンス作品が苦手な人でも、これは気軽に見られます。

『スノーピアサー』
あまり期待しすぎない方がいいかと。前半は緊張感が漲っていて、雪国列車に乗っている臨場感があるのだけど、後半はツッコミどころ満載。BIFF では、上映前の舞台挨拶にソン・ガンホも登場。上映後のポン・ジュノ監督の QA は 1 時間以上に及びました。




『우리 선희 / わたしたちのソニ (原題)』
英語字幕

原題: 우리 선희
製作年: 2013 年 9 月公開
監督: ホン・サンス
出演: チョン・ユミ、イ・ソンギュン、キム・サンジュン、チョン・ジェヨン、イェ・ジウォン、イ・ミヌ

あらすじ: 映画科の卒業生ソニ(チョン・ユミ) は久しぶりに大学を訪れ、アメリカ留学のための推薦状をチェ教授 (キム・サンジュン) に依頼する。自分のことをかわいがってくれたチェ教授なら良く書いてくれるだろうと期待する。そして、ソニは過去に付き合っていた新米映画監督ムンス (イ・ソンギュン) と、先輩の映画監督ジェハク (チョン・ジェヨン) と会う。

第 66 回 ロカルノ映画祭 監督賞

=====

相変わらず、どうということのない男と女の日常を切り取った作品ですが、近年の 『3 人のアンヌ』 や 『次の朝は他人』 のような哲学的な雰囲気はなく、大衆ウケするわかりやすい作品で驚きました。

本作は、ひとりの女性ソニ(チョン・ユミ)と彼女をめぐる 3 人の男性との間に起こるエピソードが積み上げられています。男たちがそれぞれソニと会って話をして、また、男たちも互いに会ってソニについて話をする... という似たような設定が繰り返され、ソニという女性は一体何者なのか?という素朴な疑問について変奏曲のように作り上げられています。

もちろん会話に酒は欠かすことなく... (笑)。一対一の長回しのシーンが多いのですが、中でも、ムンス (イ・ソンギュン) とジェハク (チョン・ジェヨン) のシーンがワンカットで最も長かったように思います。毎日、即興でセリフを書くという独特な撮影方法で知られるホン・サンス監督の作品で、10 分以上のワンカットに耐えられる演技力と集中力を備えた俳優 2 人はスゴイなとあらためて思いました。

実際に酒を飲みながら何テイクも撮り、どれだけ酒が入ったことか (笑)。記事によると、まじで酔っていたそうですが。

特に、3 人の男たちが語るソニについての人物評価が伝言ゲームのようになっているところが可笑しいのです。そんな軽快なトークの中にも、「深く、深く掘り下げて、自分の限界を極めることが重要なんだ」 というムンスのセリフに代表されるように、夢を追うことの儚さが垣間見えて、人生に対する諦観や悲観にもそっと触れている繊細なところがあります。

シーンとシーンの間に ♪ 고향 ♪(by 최은진) というレトロな曲が流れて仕切られるため、深刻になりそうでならない押しつけがましさもなく、コリをほぐしてくれるような不思議な感覚を味わえます。

以前にも少し触れましたが、ホン・サンス監督の作品には情念の押しつけがないものの、エピソードは時にはサラサラと、時にはクドクド流れて行くのですが、本作はリズムよく比較的サラサラと流れて行きます。

単純そうに見えて、噛みしめると解釈が奥深いのかもしれないけれど...

My 評価: ★★★




『スノーピアサー』
英語字幕

原題: 설국열차
製作年: 2013 年 8 月公開
製作国: 韓国 / アメリカ / フランス
監督: ポン・ジュノ
出演: クリス・エヴァンス、ソン・ガンホ、コ・アソン、ジェイミー・ベル、アリソン・ピル、ジョン・ハート、ティルダ・スウィントン、オクタヴィア・スペンサー、エド・ハリス

あらすじ: 2014 年 7 月 1 日。地球温暖化を食い止めるために人工的に地球を寒冷化させるという実験 CW-7 が行われたが失敗。地球に氷河期が到来し、わずかに生き延びた人々は永久エンジンで動き続ける列車 「スノーピアサー」 に乗り込んだ。それから 17 年後の 2031 年。スノーピアサーの中では、先頭車両に住むエリート層が全てを支配し、貧困層は劣悪な後方車両に。貧困層のカーティス (クリス・エヴァンス) は、セキュリティ設計者ミンス (ソン・ガンホ) や仲間とともに反乱を起こす。

=====

本作は、コミック 『Le Transperceneige』 を原作として設定だけを残し、エピソードはポン・ジュノ監督が書き下ろしたもの。

氷河期の地上で生存する人間たちを乗せて走り続ける列車は、近未来的ノアの方舟と形容されていますが、それよりも人間社会の縮図そのものと言ったほうがよさそうです。というのも、この列車では、人間が人間を支配しているに過ぎず、誰も救われていないからです。

後部車両と前方車両にある階級の差。階級闘争がこの映画のメインテーマなのかしらと思うほど、ひたすら闘争シーンが続きます。後部車両から前へ前へと前方車両に進む反乱軍。車両から車両へ移るたびに、驚くばかりの車両の光景が映し出されます。サウナ車両、ギャンブル車両、温室車両、鮨屋車両、水族館車両... 一体いつになったら先頭車両にたどり着くのかと、そこには誰がいて何があるのかと、アドベンチャー的な要素で見る者の目を惹きつけてくれます。

後部車両は衛生状態も劣悪なようで(笑)、すし詰め状態の人間たちと、列車という細長く閉ざされた世界特有の閉塞感に息がつまりそうになりますが、自分もまるで列車に同乗しているかのような臨場感がありました。

ところが、前へ前へ進むにしたがって、列車に乗っているというガタゴト感がなくなってきて、単に近未来都市の一室にいるかのよう。列車であるはずなのに音も揺れも消されてしまい、そこが列車内であることさえ忘れてしまいそうで、消音、耐震仕様の車両ということなのでしょうか? そんな些細なことが気になり始めると、スーッと気持ちが冷めてしまい、なんだかストーリーに乗れなくなってしまい、あらら、途中下車してしまった... と(笑)。

上映後の Q&A で監督が語っていたのですが、列車内は前に進むしか道がないから、戦闘リーダーはただひたすら突進するのみ。でも、ミンス (ソン・ガンホ) は列車の外へ飛び出すことを考えていて、それは監督自身を投影しているのだそうです。今ある枠組みの中でベストを尽くすだけではなく、枠組みを打ち破る何かを求めているということでしょうか。

列車内には、国や人種や宗教といった人を分け隔てるものはなく、そこにいるのは 「人類」 という素の存在で、自分は何者なのかと虚を衝かれるものがありました。それは、作品が伝えようとした無国籍でユニバーサルなメッセージだったのかどうかは明確でなくて、なにかぼんやりしたもので...。

SF ファンタジーを楽しむ娯楽作品ですが、ハリウッド作品ほど精巧な CG ではなく、漫画っぽさが目についてしまうため、特別スゴイというわけでもなく普通の作品。

前へ前へと突き進む戦闘エネルギーと、列車を走らせるエンジンのエネルギーが重なり、人間の持つエネルギーの偉大さと同時に恐ろしさも感じたのですが、そのエネルギーはどこへ向けて発せられるべきものなのか... そういうことを問いかけているのかなと思いました。

あまり期待しすぎない方がいいかと。日本では来年 2 月に公開。

My 評価: ★★★

上映前舞台挨拶。ソン・ガンホ(左)も登場。
20131007snowpiercer1.jpg

上映後Q&A。
20131007snowpierecer2.jpg

海外での撮影について、日本で 『Tokyo!(Shaking Tokyo)』 (2008) を撮った時のことを熱く語ってくれました。スタッフは全員日本人で、韓国人は監督ひとりだったそうですが、その時の経験が非常に勉強になったと。



tag: 韓国映画

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