スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

原作小説 『太陽を抱く月』 (下) 感想

moon_book2

そういえば... 書いていなかった 『太陽を抱く月』 下巻の感想...

ドラマの方は、来年 1 月から NHK BS プレミアムでの放送が決まったそうですね。ワタシにとってはもう記憶の彼方へ行ってしまいましたが...

感想を書くにあたり、再度原作をぱらぱらめくってみると、どうしてもドラマになかった場面に惹かれてしまうのです。どうしてこの場面はドラマになかったのだろうかと。ドラマになかったからこそ原作で発見できる面白さもあるので、ドラマと原作との乖離も悪くないのかもしれません。

ドラマでは記憶喪失だったウォル。原作でのウォルは記憶喪失ではなく、その方が自然で良かったのにとずっと思っていたのですが... ところで原作のヨヌ (ウォル) はなぜフォンにどんどん近づいたのか、本当のところを知りたいですね。

原作では、ヨヌが世子嬪に選ばれたとき、フォンとヨヌは互いに顔を知らなかったわけですが... 顔は知らずとも相手が王となるべき男子だと知れば、そりゃどんな少女も胸はときめくものですよね。自分のものになるはずの王子様が突然誰かに横取りされ、死の淵まで彷徨うはめになったわけですから、普通なら恨み骨髄になってもおかしくないのでは... と。

ヨヌってとても聡明で頭の回転が速い女子ですよね。全てを受け入れるほどの達観した器を持っていたのか... それとも、これって実はもしかして純愛劇に見せかけたヨヌの巧妙な復讐劇だったのではと思ったり。相手が王であるフォンだからこそ仕掛けたとか? 相手がヤンミョンやジェウンであっても同じようにしたかなと...

純愛劇をぶち壊すようなことを... (笑)。

しかし、そんな下世話で天の邪鬼な考えが首をもたげないように遮っていたのは、この作家の独特の文章だったのかと思ったりしています。この作家の五感を刺激する文章は、実に繊細だなと思うのです。



五感を刺激する文章に触れて... 第六章より


■ 聴覚

(第六章 月の影 2 風の音)
陽明君がユン・デヒョンら反乱軍に加担する者たちにサインを求める場面。

冷たく巻き起こった風がフンガンジェに襲いかかる。だが部屋の中に座っている陽明君までは達せず、どこかへ吹きすぎて行った...

「か、風の音が妙に薄気味悪いですな…」
「今、風などに耳をかす時間があるのか」

... 部屋に入れない風は、龍の悲鳴のような声をあげて外を吹きめぐるばかりだった。


陽明君の運命を暗示している風。陽明君は自分の運命がわかっていて、不吉な風の音にも耳を貸さない... 龍の悲鳴は陽明君の悲痛そのもので... 龍の声は聞いたことがありませんが (笑)、想像してしまいます。


■ 触覚

(第六章 月の影 3 梅の庭)
ジェウンがヨヌに梅の花の枝を渡す場面。王女ミンファの罪とともに兄ヨムが王フォンの手で処罰されるかもしれず心穏やかではないヨヌを慰めようとしたジェウン。

梅の枝を受け取ったヨヌの手がジェウンの手に触れた。ジェウンは手が触れた小さな面積が身体全部になったような気がして、その心を隠すために拳をぎゅっと握りしめた

想い人が自分の手に触れた瞬間、手に電流でも走ったかと思う感覚とか、本心を知られたくない時に力を入れた拳の感覚ってとてもわかるなと思ってしまうのです。

この直後、ヨヌがジェウンの気持ちに気付くのです。「青い空に浮かぶ澄んだ雲にも心があったのに...」と。相手の心に自分がいないことを知っているその相手への片思いは、相手に自分の気持ちが伝わった瞬間に、もうそれ以上何ら希望がない哀しさがあることを... ヨヌはわかっていたのかしら。


■ 視覚

(第六章 月の影 6 雨上がり)
王女ミンファの罪を問う成均館儒生たちの捲堂に混じり、自らの死罪を願う上疏で座り込むヨムに、儒生たちが意を取り消してほしいと、水色の襴衫(サンナム)をヨムに羽織らせる場面。

ヨムの肩に襴衫をかけながら、帰ってくれと必死で求めた... いつのまにかヨムの肩にはたくさんの水色の襴衫がかけられ、かけきれなかった衣が回りにうずたかく積まれた。そのため、罪人の衣として着てきた白衣が、士大夫の色である水色でおおわれて見えなくなった。

実は、ワタシはこの場面がこの小説の中で一番好きなのです。罪人であることを自ら示して白衣を着て座りこむヨムの肩に水色の衣が幾重にも重ねられるこの場面は、視覚的に、画的になんて美しい情景なのだろうと思うのです。それと同時に、水色という色がヨムの凛然たる態度、清廉さ、気高さを表している色にような気がして、国の根幹となる儒生たち、士大夫たちにとってヨムがどれほど大切な人材であり、存在であるかということもよくわかるのです。

余談ですが、原作ではポギョンが自殺するときも白衣を着ていて、自ら罪人であることを認めているのですが、ドラマでは白衣ではなかったので、こうした細部においてドラマはダメダメでしたね。


■ 味覚・嗅覚

(第六章 月の影 7 再開)
ヨヌは蘭の香り、フォンは菊の香りと、香りの話はいくつか出てきますが、最後のフォンとヨヌの初夜に2人で酌み交わす酒の場面。

そして二つの杯に酒を注いだ。一つはヨヌに渡し、もう一つはフォンが持つ。杯を唇に当てると、香りがした。蘭香、いや鬱金草だった... 鬱金草で香りをつけた酒は、悪鬼を払う酒として新婚初夜に使われる。温陽で初めて会った日、ウォルが出したのは婚礼酒だったのだ。

冒頭の出会いと最後の合房が、鬱金草の酒でつながっていたことは驚きでした。フォンも 「うかつだった」 と言っていますが、あの酒からヨヌの復讐が始まっていた?(笑)。この酒はどんな香りで、どんな味なのかしらん?と思ったら、鬱金草ってウコンのことらしいので、何となく想像がつきますね。



tag: 韓国ドラマ 太陽を抱く月

コメント:

コメントの投稿


非公開コメント:

プロフィール

lotusruby

Author:lotusruby
当ブログ内での画像・動画は個人で楽しむ範囲で掲載しており、記事文中は敬称略とさせていただきます。

ブロガーさんとのリンクは歓迎ですが常識の範囲でお願いいたします。また、Twitter への記事リンクは事前にご照会いただけると幸いです。さりげなく拍手をくださる方、ありがとうございます。

なお、旧館からの移行記事 (2012年3月以前) はうまく反映されていないものがあります。

twitterwidget
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム
QRコード
QR
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。