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『ぼくに炎の戦車を』 観劇記

『ぼくに炎の戦車を』 @赤坂 ACT シアターを見てきました。

チャ・スンウォンの演劇デビューが日本公演だと聞きおよび、とても驚いたものでしたが、そうこうしている間に観劇日を迎えてしまいました。

本作は日韓合同作品で、韓国側からチャ・スンウォンとキム・ウンスが舞台に立つというだけでも見たくなる演目ですが、日本側からは、ツヨポン、香川照之、広末涼子、青木崇高と人気役者がそろうという顔ぶれ。

何よりも、作・演出は、『焼肉ドラゴン』 の鄭義信 (チョン・ウィシン)。楽しみにしていた演目でした。

bokusen


出演者・あらすじなどの詳細は、公式 HP へ(http://www.bokusen.com/)。


見てよかったなと思えた演目でした。多少強引だなと思う場面もあったのですが、それはワタシの理解不足によるものであって... 簡単な感想を書き留めておきます (紹介されているあらすじ以上のネタバレはありません)。



『ぼくに炎の戦車を』 の時代背景は、日韓両国にとって歴史的に非常に微妙な時代、日韓併合時代です。

この時代の韓国映画や韓国ドラマはいくつか見ていますが、当然のことながら被支配者の視点で描かれているため、ひたすら日本憎し、朝鮮民族の誇りをアピールした万歳コンテンツばかりです。日本が悪であってもいいのですが、感情と興奮が先走るあまり、説得力が乏しいものがほとんどでした。

こうした時代背景の内容は、このご時世に何かと批判の対象になったりするのではないかと心配になったりするのですが、上演すること自体は評価すべきことだと思います。

『ぼくに炎の戦車を』 では、民族対立が深まる政治的背景の中で、蔑まされた民であり名もなき旅芸人集団である男寺党の逞しい生き様を取り入れ、そこに朝鮮半島に住む日本人社会を絡めて描かれたストーリー構成です。

『ぼくに炎の戦車を』が斬新だと思えたところは、当時の朝鮮半島に住む日本人たちの困難や苦悩を取り入れたところで、これまでの韓国コンテンツには見られない視点でした。もちろん日本人にとって都合のよいところばかりが描かれているわけではなく、日本人にとって胸が痛いところもありつつ、かつやはり少し甘いなと思えるところもあるのですが、そのあたりのさじ加減はとても難しいだろうなと思いました。

また、当時の朝鮮社会で賤民扱いされていた男寺党が取り上げらたことも注目したい点です。

本作には 2 本のストーリーラインが走っています。1 本は、朝鮮文化を愛する直輝(ツヨポン)と、その想いに胸を打たれて直輝を受け止めた淳雨 (チャ・スンウォン) の間に芽生えた友情。もう 1 本は、朝鮮人と日本人の両方の血が流れる清彦 (香川照之) が朝鮮に住む理由とその家族との物語。

チャ・スンウォンとツヨポンには申し訳ないけれど、劇中、美味しいところをすべて持っていったのは香川照之でした。清彦と頭領・大石 (キム・ウンス) との固い絆、清彦の哀しい愛の物語と息子との和解には、泣いた、泣いた。さすが香川照之、中途半端なことはしませんね。

そして、家族との対立、恋する人との対立、友との対立、そして民族の対立... 人間同士の相互理解の難しさを知るたびに、ともするとシリアスさで押しつぶされてしまいそうになる観客の心を、コミカルな笑いで吹き飛ばして癒そうとする...そうした手法には、作家の優しさが溢れていました。

泣いたのか笑ったのか、シリアス劇だったのかコメディ劇だったのか。泣いて笑ってを繰り返す人生そのものを映し出しているようでもありました。


全体的に、押しどころ引きどころの間合いというか、緩急の流れが滞っているところがあったような気がしましたが...


あと少しわかりづらかったところは... (以下、ネタバレ部分のみ反転します)

淳雨の弔いの綱渡り。直輝に許しを得るために綱渡りをするという意味がよくわからないというか、こじつけというか...。

また、直輝のこの演目のタイトルの所以となった 「炎の戦車を」 の詩の朗読。詩はとても素敵なのですが、直輝の心の戦い、精神の戦いとは何なのでしょう? 朝鮮人と日本人の融和? その輪郭がぼやけて見えていないまま、劇のクライマックスである詩の朗読場面を迎えたため、そのクライマックスにピントが合っていなかったような気がします。



そういえば、チャ・スンウォン、映画 『拍手するときに去れ』 の DVD 特典映像のトークで、確かチャン・ジン監督から演劇を一緒にやろうと誘われていたのに、「いやだっ」 と言っていましたよね。今頃、チャン・ジン監督が悔しがっているのでは... (笑)。

鄭義信作家の前作 『焼肉ドラゴン』 では、揺れ動く人間の心理描写の細やかさに感動しましたが、今作においては、根本的で普遍的な人間の優しさや温もり、善なる心を感じられたことは収穫だったと思います。

3 時間 30 分の長編。時間の長さは気になりません。1 度では理解しきれないものがあったので、もう 1 度見たいけれど、無理かな。そもそもチケ完売だし...。12 月は大阪公演もありますが。そちらもチケ完売!さすが...


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