スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『スリル・ミー』 の周辺背景

ミュージカル 『Thrill me スリル・ミー』 に絡んで...

今回の公演で、4 組のペアによるキャスト比較をしている方は多いと思いますが、実話を基にした作品比べをしている方は少ないかと思われ、1924 年、シカゴで実際に起こった理由なき快楽殺人事件 「レオポルドとローブ事件」をベースにした映画をいくつか見てみようと思いました。

映画化された作品:

アルフレッド・ヒッチコック監督 『ロープ』(1948年)
リチャード・フライシャー監督 『強迫/ロープ殺人事件』(1959年)
トム・ケイリン監督 『恍惚~バレンティノより美しい』(1992年)
バーベット・シュローダー監督  『完全犯罪クラブ』(2002年)

このうち、レンタルショップですぐに手に入った作品 2 本、『ロープ』 と 『恍惚』 を見てみました。


rope_poster

『ロープ』

製作国:1948年
製作国:アメリカ
監督: アルフレッド・ヒッチコック
出演: ジェームズ・スチュアート、ジョン・ドール、ファーリー・グレンジャー、サー・セドリック・ハードウィック、コンスタンス・コリアー、ダグラス・ディック

あらすじ: (引用 
goo 映画

大きな窓からマンハッタンの摩天楼が一目で見渡せるニューヨークのあるアパートの一室、殺人は夕方、この部屋で行われた。フィリップ (ファーリー・グレンジャー) とブランドン (ジョン・ドール) という大学を出たばかりの青年 2 人が同級生だったデイビットを絞め殺して、死体を衣装箱に入れたのだ。動機など別にない。ただ自分たちがずば抜けて人より秀れていることを試したかったのだ。

2 人はもっとスリルを味わうために被害者の父 (サー・セドリック・ハードウィック)、恋人 (ジョアン・チャンドラー)、被害者の恋仇だったケネス (ダグラス・ディック)、伯母 (コンスタンス・コリア)、青年たちの先生だった大学教授 (ジェームズ・スチュアート) を招いて晩餐会を催す。死体入りの衣装箱の上にごちそうを並べて皆に食べさせたり、殺人に使ったロープで幾冊かの本を縛って父親に贈ったりして、腹の中で優越感を味わっていた。

時間が経つにつれて、フィリップは犯した罪の恐ろしさに次第に冷静さを失っていくが、ブランドンは鋼鉄のような神経の持ち主で、教授がかつて世の中には法律など超越した超人がいてもいいといった言葉を思い出し、彼は死骸を教授に見せてやりたいというヒロイックな衝動にかられる。2 人の異常さに感づいた教授は、偶然被害者の帽子を見つけて、殺人発覚の糸口をつかむ。

一旦外に出た教授は煙草入れを忘れたと電話してから、再び部屋を訪れたが、フィリップはすっかりとり乱していた。教授に箱を開けて見せた時、日頃から説いていた殺人とは現実に人を殺すことではなく、より抽象的、学究的なものだったことを 2 人は発見するのだった。逆上したフィリップの拳銃をとり上げた教授は、空に向けてそれを発砲した。救急車がかけつけ、2 人は法律で裁かれることになる。



完全犯罪に挑戦して、自分たちが超人であることを証明しようとする 2 人の偏執的な側面が強調されています。

ブランドンが 「リチャード」(「彼」)、フィリップが 「ネイサン」(「私」) に相当します。

殺人は、多数にとっては犯罪であるが、優れた少数にとっては特権。
殺人は、道徳や概念を超える芸術。

ブランドンとフィリップは、友人デビッドを殺し、死体を部屋のチェストに詰め、その部屋でデビッドと関係が深い人たちを招待してパーティを開くという悪趣味なスリルを味うことで、特権意識を確かめようとします。

ブランドンは、こうした歪曲された思考の持ち主。フィリップは、ブランドンの指示に従うがまま。でも、動揺を隠せないタイプ。

結局、動揺やミスによって、事実が教授に暴かれてしまうのです。そして、常日頃彼らがバカにしている大衆の道徳と法によって裁かれることになるという展開... 社会派ドラマだったのか... 

2 人が恋人同士であるかどうかは、はっきり描かれておらず、クィアな香りはしません。解釈は見る側に任されています。

興味深いのは、フィリップ (「私」) がピアニストということ。ミュージカル 「スリル・ミー」 がピアノ 1 台だけで演奏されることと何か関係があるのかな、と想像しています。

この作品は、1929 年、イギリスの Patrick Hamilton による戯曲 「Rope」 を映画化したものだそうで、戯曲 「Rope」 自体は、やはりレオポルドとローブ事件から着想を得たものだそうです。また 「Rope」 の Broadway での上演時に、タイトルが 「Rope's end」 に変更されたそうです。

なんと、最初に戯曲化されたのは、イギリスだったのですね~。 



swoon_poster

『恍惚 ~ヴァレンティノより美しい』

原題: Swoon
製作年: 1992 年
製作国: アメリカ
監督: トム・ケイリン
出演: クレイグ・チェスター、ダニエル・シュラケット

あらすじ:
1924 年、シカゴで実際に起きた理由なき殺人事件 「レオポルドとローブ事件」を題材とする。シカゴの大学生で裕福な家庭に育ったリチャードとネイサンは、同性愛の関係にあった。ニーチェに心酔する 2 人は、完全犯罪を行うことで自らの優位性、超人を立証しようと少年を惨殺する。



『ロープ』 とはまた趣が異なり、クィアの香りが強く、2 人が愛し合う場面も出てきます。全編モノクロ、作家性の強いインディペンデント作品となっています。 1990 年代の作品とは思えないような、時代を事件当時に戻したような撮影方法で、2 人の美しい顔のクローズアップが妖艶です。

「レオポルドとローブ事件」 の実話に比較的忠実な展開で、2 人が殺人事件を引き起こし、警察に捕まり、尋問され、裁判が開かれ、そして判決、収監。最後にネイサンが釈放されまでの一連を追っています。

2 人がユダヤ人であり、同性愛者であること。つまり、彼らが社会的マイノリティであることにも触れていて、社会派の視点が大きく取り上げられています。

警察に捕まった 2 人が罪を互いに擦り付け合ったり、警察での供述も克明に描かれていて、さらに法廷での弁論のシーンも裁判記録に基づいて作られたそうで、複雑な弁論が展開されていました。

ミュージカル 『スリル・ミー』 では、法廷の場面はなく、死罪を免れたのは剛腕弁護士のおかげで、「彼」 が、「あんな弁護士になりたかった」 と語っていたのが、唯一法廷に関する部分でした。

興味深いのは、ネイサンが鳥類学者で、鳥の標本蒐集を行っていること。『スリル・ミー』 の 「私」 は、バードウォッチングが趣味。事件後、「かごの鳥」 のごとく 2 人で収監されることを望んでいた 「私」 に通じているような気がします。

また、少年を殺害した後、2 人が証拠品を燃やして炎をじっと見つめる場面があるのですが、「Nothing like a fire」  を彷彿させるなと思ったり。2 人の関係性も、この作品と 『スリル・ミー』 には通ずるものがあると思います。




すっかり 『スリル・ミー』 廃人と化しています。こうしてメディアは異なるものの実話ベースの他作品との比較によって背景を探ると、新たな発見があったりして面白いですね。




コメント:

No title

素晴らしい視点ですね。
ウンムペア廃人になったからといって、ジェウンさん出演の「炎のように蝶のように」のDVDをヤ○オクで探すわけでもなく、ムヨルさん出演の「ウンギョ」のDVDを注文するわけでもなく、同じくムヨルさん出演の「神弓」の試写会にガンガン応募するわけでもなく(それはすべて私です♪)、「スリルミー」の物語を掘り下げるなんて、素晴らしい!!

Re: No title

なあごさん

褒めていただき?、モジモジしています ^^;
ウンムペアも好きですが、「スリル・ミー」 という作品自体にも惹かれるのです。とりあえずチェックしておきたいと思った時に見ておかないと、すぐに忘れてしまうザルな頭なもので。あの事件を題材に繰り返して映像化されているところを見ると、かなり衝撃的な事件だったのですね。
しかし、映画と比べても、やっぱり、ウンムペア最強!最高!(←こればっかり・笑)

>ジェウンさん出演の「炎のように蝶のように」
あっ、コレ、チェックしなくては。メモしました。

コメントの投稿


非公開コメント:

プロフィール

lotusruby

Author:lotusruby
当ブログ内での画像・動画は個人で楽しむ範囲で掲載しており、記事文中は敬称略とさせていただきます。

ブロガーさんとのリンクは歓迎ですが常識の範囲でお願いいたします。また、Twitter への記事リンクは事前にご照会いただけると幸いです。さりげなく拍手をくださる方、ありがとうございます。

なお、旧館からの移行記事 (2012年3月以前) はうまく反映されていないものがあります。

twitterwidget
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム
QRコード
QR
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。